特定技能は人材派遣で受け入れできる?基本ルールと誤解されやすいポイントを徹底解説

深刻な人手不足を解消するための有力な選択肢として、多くの企業が導入を進めている「特定技能」。 いざ採用を検討するにあたり、「必要な時期だけ人材派遣のように受け入れることはできるのか?」「自社で直接雇用しなければならないのか?」といった疑問を持たれる担当者様は少なくありません。
本記事では、特定技能における「受け入れ形態(雇用形態)」の基本ルールと、例外となるケース、そして企業が陥りやすい誤解について分かりやすく解説します。

1. 結論:特定技能は原則として「直接雇用」のみ
結論から申し上げますと、特定技能外国人は原則として「直接雇用」で受け入れる必要があります。 一般的な派遣社員のように、人材派遣会社から労働者を派遣してもらい、自社の現場で働かせるという形態(労働者派遣)は、法律で固く禁じられています。
特定技能で定められている直接雇用の主なルールは以下の通りです。
フルタイム労働であること: アルバイトやパートタイム、短時間労働での雇用は認められません。(※原則として週5日以上、年間217日以上、かつ週30時間以上の労働時間が必要です)
日本人と同等以上の報酬額であること: 同じ業務に従事する日本人労働者と同等、あるいはそれ以上の給与水準で雇用契約を結ぶ必要があります。
企業(特定技能所属機関)は、外国人材と直接「雇用契約」を結び、自社の従業員として適切な労務管理を行う責任を持ちます。
2. 例外として「人材派遣」が認められる2つの分野
原則は直接雇用ですが、特定技能の全16分野のうち、以下の2つの分野に限り、例外として「人材派遣」での受け入れが認められています。
農業分野
漁業分野
なぜ農業と漁業だけ派遣が認められているのか?
これらの一次産業は、季節や天候によって「農繁期」や「漁期」といった繁忙期と、仕事が少ない閑散期の差が非常に激しいという特徴があります。
ひとつの事業所(農家や漁協)が1年間を通じてフルタイムで外国人を直接雇用し続けることが難しいため、地域の特性に合わせて複数の事業所を柔軟に移動して働けるよう、特例として労働者派遣形態が認められています。
(※ただし、派遣元になれるのは、その地域で農業・漁業に深く関わる特定の要件を満たした事業者に限られます)
上記以外の分野(製造業、建設、介護、外食、宿泊など)では、いかなる理由があっても人材派遣での受け入れはできませんのでご注意ください。
3. 企業が陥りやすい3つの誤解と注意点
特定技能の受け入れ形態において、企業担当者様からよくお伺いする「誤解されやすいポイント」を整理しました。コンプライアンス違反(不法就労助長など)を防ぐためにも、必ず押さえておきましょう。
① 「登録支援機関」=「派遣会社」という誤解
最も多いのが、人材の紹介や支援を行う「登録支援機関」を「人材派遣会社」と同じものだと勘違いしてしまうケースです。
派遣会社: 労働者を雇用し、企業へ「派遣」する。(※特定技能では原則不可)
登録支援機関: 企業と直接雇用契約を結んだ外国人に対し、企業に代わって入国前後の「生活支援や手続きサポート」を行う専門機関。
つまり、登録支援機関を利用したとしても、雇用主はあくまで「受け入れ企業様ご自身」となります。
② 業務請負を装った「偽装請負」のリスク
直接雇用や派遣のルールを逃れるため、実態は派遣であるにもかかわらず「業務請負契約」を装って特定技能外国人を働かせることは「偽装請負」と呼ばれる違法行為です。
指揮命令権がどこにあるか(自社の社員が直接指示を出していないか)など、出入国在留管理局や労働基準監督署から厳しくチェックされるため、安易な請負契約には十分な注意が必要です。
③ 「お試し」での短期雇用はできない
「まずは数ヶ月だけ採用してみて、良ければ長く働いてもらおう」といった、試用期間を目的とした極端な短期契約や、スポット的な人員補充としての採用は特定技能の制度趣旨に反します。 特定技能は、長期的な視野で企業の戦力となる人材を育成・確保するための制度であると理解することが重要です。
4. まとめ:正しいルールで安心・確実な受け入れ体制を
特定技能は、農業・漁業分野を除き、すべて「フルタイムの直接雇用」が絶対条件となります。 「派遣のように手軽に人員を増やしたい」というニーズには合致しない部分もありますが、直接雇用だからこそ、自社のノウハウをしっかりと継承し、長期的なコア人材として定着させることが可能です。
制度のルールを正しく理解した上で、複雑な手続きや入社後のサポートについては、専門知識を持つ「登録支援機関」をパートナーとして有効に活用し、コンプライアンスを遵守した安心・安全な受け入れ体制を構築しましょう。



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