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高知のホテル・旅館が特定技能で人材を採用するには?「できる業務」と受け入れ枠の実情

執筆者の写真: WS-column
WS-column
6 日前
読了時間: 9分

高知県のホテル・旅館では、いま2つのことが同時に起きています。ひとつはインバウンドの回復、もうひとつは人が採れないという慢性的な状況です。

「求人を出しても応募がない」「繁忙期だけ人が足りない」「フロントに英語や中国語ができる人がほしい」。県内の宿泊施設様から、こうしたご相談をいただく機会が明らかに増えました。

本記事では、特定技能「宿泊」分野で外国人材を受け入れる際に、制度上できる業務とできない業務受け入れ枠の実情、そして高知の宿泊施設ならではの論点を整理します。制度の一般論ではなく、県内で実際に受け入れをご支援している立場から書いています。



目次


高知の宿泊業がいま置かれている状況


インバウンドは回復し、しかも構成が特徴的


四国銀行の調査によると、高知県の外国人延べ宿泊者数は2024年で約10万6,580人泊。2025年4月には単月で1万7,000人泊を記録し、過去最高だった2023年を上回るペースで推移しています。

注目すべきは、その国籍構成です。

  • 台湾:4万8,400人泊(全体の46%)

  • 中国:1万1,460人泊

  • 香港:9,990人泊

台湾だけで46%、中華系(台湾・中国・香港)で66%、韓国を加えると73%を占めます。欧米豪ではなく東アジアに大きく偏っているのが高知の特徴です。

これは受け入れ体制を考えるうえで重要な事実です。全国平均に合わせて英語対応を強化するより、中国語・韓国語に対応できるスタッフを置くほうが、高知では投資効率が高い可能性があります。


一方で、人は採れていない


帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」(2026年4月)によれば、旅館・ホテル業の非正規社員不足率は38.5%。全業種平均の28.3%を10ポイント以上上回っています。

正社員についても、全業種平均で50.6%の企業が不足を感じている状況です。

つまり高知の宿泊施設は、客は戻ってきているのに、迎える人がいないという構図に置かれています。



特定技能「宿泊」でできる業務・できない業務


ここが、宿泊分野で最も誤解の多いポイントです。


従事できる主たる業務

出入国在留管理庁の分野別運用方針では、特定技能1号(宿泊)が従事する業務は次のとおり定められています。


フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務


具体的には、チェックイン・チェックアウト対応、予約管理、館内案内、観光案内、宿泊プランの企画、SNSや広報物の作成、レストランでの接客・配膳などが該当します。


主たる業務にできないもの

ここが重要です。客室清掃は「関連業務」の位置づけであり、それを主たる業務として設計することはできません。

日本人スタッフが通常従事する業務として、付随的に清掃を行うことは認められます。しかし「清掃要員として採用する」という設計は制度上できません。

現場で最も人手が必要なのは客室清掃である、というのが宿泊業の実情です。そこと制度の受け皿がずれているという点は、受け入れを検討する前に必ず押さえておく必要があります。

逆に言えば、フロント・接客・多言語対応といった「人が採れないが、施設の顔になる仕事」にこそ、特定技能は適しているということです。台湾・中国・香港からの宿泊客が7割近くを占める高知では、この適合性はかなり高いと考えられます。



受け入れ枠は、いまなら空いている


特定技能には分野ごとに「受入れ見込数」という上限が設定されています。出入国在留管理庁が公表した令和8年3月末時点の速報値を見ると、宿泊分野の状況は他分野と大きく異なります。


分野

受入れ見込数

在留者数

充足率

宿泊

14,800人

2,207人

14.9%

外食業

50,000人

47,714人

95.4%

全分野合計

805,700人

404,527人

50.2%


宿泊分野の充足率は14.9%。枠が12,000人分以上残っています。

対照的に、外食業はすでに95.4%が埋まり、残りは2,300人分ほどしかありません。飲食料品製造業や介護も高い水準にあります。

なぜ宿泊分野だけこれほど低いのか。理由のひとつは、前述した業務範囲と現場ニーズのずれです。清掃を任せられないことから、受け入れをためらう施設が多いと見られます。

しかし裏を返せば、フロント・接客の人材として明確に位置づけて採用できる施設にとっては、競争が少ない状態が続いているということです。枠が埋まってからでは選択肢が狭まります。

なお、2024年の制度改正により宿泊分野でも特定技能2号への移行が可能になりました。2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も認められます。長期的な戦力として育てる前提が整ったことも、見逃せない変化です。



受け入れに必要な3つの要件


宿泊分野には、他分野にはない固有の要件があります。


旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可


受入機関は、旅館業法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けている必要があります。簡易宿所営業や下宿営業の許可では受け入れができません。

また、風俗営業法に定める特定施設に該当しないことも条件です。


宿泊分野特定技能協議会への加入


国土交通省が設置する「宿泊分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。加入は義務であり、協議会や国土交通省が行う調査・指導への協力も求められます。


本人が満たすべき試験要件

外国人本人は、次の2つに合格している必要があります。

  • 技能試験:宿泊分野特定技能1号評価試験(CBT方式)

  • 日本語試験:日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)

なお、宿泊分野の技能実習2号を良好に修了している場合は、いずれの試験も免除されます。

このほか、支援計画の作成・実施が義務づけられている点は他分野と共通です。詳しくは「特定技能の支援計画とは」で解説しています。



高知の宿泊施設ならではの論点


大都市圏のホテルと同じやり方では、高知ではうまくいかない部分があります。実務上、特に差が出るのは次の3点です。


シフトと住居をセットで設計する


宿泊業は早番・遅番・夜勤が発生します。公共交通の便が限られる地域では、シフトと住居の距離が定着率を直接左右します。

深夜に勤務が終わる日があるなら、徒歩や自転車で帰れる範囲に住居を確保するか、送迎を制度として用意する必要があります。「あとで考える」では、入社後すぐに問題になります。


繁忙期と閑散期の差が大きい


高知の観光は季節変動が大きく、繁忙期と閑散期で必要な人員が大きく変わります。

特定技能はフルタイムの直接雇用が前提です。閑散期に仕事がないという状態は制度上も実務上も好ましくありません。年間を通じてどう業務を割り振るか、館内の他部門との連携も含めて、採用前に設計しておくことをおすすめします。


多言語対応を「採用要件」として明示する


台湾・中国・香港からの宿泊客が66%を占める以上、中国語対応ができる人材の価値は高知では特に高くなります。

募集の段階で「中国語または韓国語での接客ができる方」と明示すれば、応募者の質が変わります。日本語能力だけで選ぶより、施設の実情に合った採用になります。



高知県の支援制度を使う


高知県には、外国人材を受け入れる県内事業者向けの独自制度があります。

こうち外国人材優良サポート事業者認証制度

県内に本社または事業所を有し、外国人材を雇用している事業者を高知県が認証する制度です。

認証を受けると、県のホームページで企業名が発信され、認証マークを企業PRに活用できます。さらに、下記の補助金の補助率が3分の1から2分の1に引き上げられます。

申請期間は令和8年5月1日から12月31日まで。電子申請または郵送で受け付けています。

宿泊施設の場合、「県が認めた受け入れ企業」であることは、求職者に対しても宿泊客に対しても意味を持ちます。


高知県外国人材受入環境整備事業補助金(スキルアップ支援)

外国人従業員のスキル向上にかかる費用を県が補助する制度です。

  • 対象経費:技能訓練、技能試験、ビジネススキル研修(日本語教育を含む)、特定技能試験・日本語試験の受験費用

  • 補助率:3分の1以内(認証事業者は2分の1以内)

  • 上限額:1事業者あたり100万円(外国人材1人あたり3万円)

接客業務に必要な日本語教育が補助対象に含まれている点は、宿泊業にとって特に有用です。


県の相談窓口

高知県 商工労働部 商工政策課(外国人材受入推進室)/電話 088-823-9643



まとめ


高知の宿泊業は、インバウンドが回復する一方で人手不足が続いています。特定技能「宿泊」は、この状況に対する有力な選択肢のひとつです。


本記事の要点を整理します。

  • 高知の外国人宿泊者は台湾・中国・香港で66%。中国語対応人材の価値が全国平均より高い

  • 旅館・ホテルの非正規社員不足率は38.5%で、全業種平均を10ポイント超上回る

  • 特定技能「宿泊」の充足率は14.9%。枠が1万2,000人分以上残っている(外食業は95.4%で残りわずか)

  • ただし**客室清掃は主たる業務にできない。**フロント・接客・多言語対応の人材として設計する必要がある

  • 受け入れには旅館業法の「旅館・ホテル営業」許可と、宿泊分野特定技能協議会への加入が必須



2024年から特定技能2号への移行が可能になり、長期雇用の前提が整ったWorkStarまほろばは高知県南国市を拠点とする登録支援機関です。


弊社が運営するベストプライス高知や天然温泉はるのの湯では、ベトナム・ネパール・インドネシア・韓国等出身のスタッフを受け入れています。


「うちの許可種別で受け入れられるのか」「協議会の加入手続きが分からない」といった段階からで構いません。初回のご相談は無料です。県内であれば、実際に館内を拝見したうえでご提案いたします。


人材紹介サービス登録支援機関としての支援内容の詳細は各ページをご覧ください。お問い合わせはこちらから承ります。


特定技能制度の全体像については「高知県で特定技能外国人を採用するには」もあわせてご覧ください。採用にかかる費用の内訳は別記事で詳しく解説しています。


出典

出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)」/出入国在留管理庁「宿泊分野の分野別運用方針・運用要領」/帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」/四国銀行 四銀地域経済研究所「高知県におけるインバウンドの状況と地域活性化」(2025年8月)/高知県「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」/高知県「高知県外国人材受入環境整備事業補助金(スキルアップ支援)」

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