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高知の農業で特定技能外国人を採用するには|施設園芸の通年雇用・派遣の活用・住まいの確保

執筆者の写真: WS-column
WS-column
10月16日
読了時間: 7分

「ハウスの収穫期に人が足りない」「高齢の家族だけでは規模を維持できない」「技能実習生を受け入れてきたが、制度が変わると聞いて不安」。

高知県内の農家・農業法人の皆様から、こうしたご相談が増えています。

特定技能「農業」は、現場の人手不足に対応するための在留資格です。技能実習と違って即戦力として働けること、そして派遣という形でも受け入れられることが大きな特徴です。

本記事では、特定技能で外国人材を受け入れる際のルールを整理します。そのうえで、施設園芸が中心の高知の農業ならではの論点を、県内で受け入れを支援している立場からお伝えします。


目次


1. 高知の農業と人手不足


高知県は、温暖で日照に恵まれた気候を生かした施設園芸(ハウス栽培)の産地です。ナスは冬春期の出荷量で全国一を誇り、ハウスでの促成栽培(10〜6月)が中心です。ナスのほかにも、ミョウガ、ニラ、シシトウなど、産出額で全国トップの施設野菜があります。


こうした施設園芸は、収穫・調製・出荷作業に多くの人手がかかります。一方で、県内の農業の担い手は高齢化が進んでいます。家族経営だけで面積を維持するのが難しくなってきている産地も少なくありません。


全国でも農業分野の特定技能外国人は増えています。2026年6月末時点の在留者数は44,050人で、受入れ見込数73,300人に対する充足率は60.1%です。1年間で9,115人増えています。


2. 特定技能「農業」でできる仕事


特定技能1号の農業分野は、「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2つの区分に分かれています。


  • 耕種農業全般: 栽培管理、農産物の集出荷・選別など

  • 畜産農業全般: 飼養管理、畜産物の集出荷・選別など


高知の施設園芸でいえば、次のような作業が中心になります。


  • 定植、誘引、芽かき、摘葉、収穫などのハウス内作業

  • 選果・調製・箱詰めなどの集出荷作業


また、同じ事業所の日本人が普段行っている関連業務(自社の農産物の加工や販売の手伝いなど)に、付随的に従事することも認められています。ただし、主な業務はあくまで栽培・収穫などの農作業です。加工や販売が中心になる働き方はできません。


3. 受け入れに必要な要件


外国人材側の要件

特定技能1号として働くには、次の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能:「1号農業技能測定試験」

  • 日本語:「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」

農業分野の技能実習2号を良好に修了した人は、試験が免除されます。


受け入れる農家・法人側の要件

直接雇用の場合

受け入れる事業者は、労働者を一定期間以上雇用した経験、またはこれに準ずる経験を持っている必要があります。これは、労働者を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験を指します。家族だけで経営してきた農家の場合、この要件を満たすかどうかを最初に確認する必要があります。


協議会への加入

受け入れる事業者は、「農業特定技能協議会」の構成員になる必要があります。登録支援機関に支援を委託する場合も、協議会に必要な協力を行う登録支援機関を選ぶ必要があります。


雇用条件

報酬は、同じ仕事をする日本人と同等以上でなければなりません。なお、農業は労働基準法の労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となる業種です。それでも、休日や労働時間を就業規則や雇用契約で明確にしておくことが、トラブル防止と定着のために大切です。


4. 直接雇用か派遣か:高知の施設園芸での選び方


特定技能の多くの分野では直接雇用しか認められていません。しかし農業分野では、直接雇用と派遣の両方が認められています。


直接雇用が向いている農家

  • 通年でハウス作業がある、または複数の品目を組み合わせて年間の作業を組める

  • 長く同じ人に働いてもらい、技術を身につけてほしい

  • 住まいの確保や生活面のサポートを自社(と登録支援機関)で行える


派遣が向いている農家

  • 収穫期など、特定の時期だけ人手が足りない

  • 1軒の農家では通年の仕事量が確保できない

  • 労務管理や住居の手配を自社で抱えるのが難しい


派遣で受け入れる場合、派遣元の事業者に要件があります。農業現場の実情を把握していて、適正に受け入れを行う能力を持っていることが求められます。派遣先となる農家にも要件があります。一定期間以上の雇用経験を持つ人か、派遣先責任者講習などを受けた人を派遣先責任者にする必要があります。


特定技能と派遣の基本的なルールは「特定技能は人材派遣で受け入れできる?」で解説しています。


5. 高知ならではの3つの論点


論点1:季節性をどう埋めるか

高知の施設園芸は、秋から翌年初夏までが作付・収穫の中心です。夏場は作業量が大きく減る農家も多くあります。


直接雇用で受け入れる場合、「夏の間の仕事をどう組み立てるか」を事前に考えておく必要があります。考えられる方法には次のようなものがあります。

  • ハウスの補修、土づくり、定植準備などの作業を夏に集中させる

  • 夏場に作業のある品目(露地野菜など)を組み合わせる

  • 近隣の農家や農業法人と連携して、作業を融通する

ここが組めない場合は、派遣の活用や、繁忙期に合わせた受け入れ計画を検討します。


論点2:住まいと移動

県内の産地の多くは、公共交通が限られる地域にあります。住まいの確保と、ハウスまでの移動手段は、採用前に必ず決めておきたいポイントです。

  • 住まい: 農家の近くに空き家やアパートがあるかを確認します。借り上げ社宅にする場合は、家具・家電の準備も必要です。

  • 移動: 自転車で通える距離か、送迎が必要かを検討します。将来的に車を運転してもらう場合は、運転免許の取得(外免切替)も計画に入れておきます。


論点3:中山間地での暮らしと孤立の防止

市街地から離れた産地では、買い物、病院、同じ国の仲間との交流が難しくなりがちです。仕事には慣れても、暮らしの面で孤立して辞めてしまうケースは少なくありません。

できれば2名以上で受け入れる、休日に市街地へ出る手段を用意するなど、生活面の工夫が定着を左右します。


6. 技能実習を受け入れている農家の皆様へ


技能実習制度は、2027年4月から「育成就労制度」に移行します。すでに技能実習生を受け入れている農家にとっては、今後の受け入れをどう続けるかを考えるタイミングです。


農業分野の技能実習2号を良好に修了した人は、試験を受けずに特定技能1号へ移行できます。今いる実習生に、修了後も特定技能として働き続けてもらうのは、現実的で効果の大きい選択肢です。移行を考えている場合は、実習の修了時期から逆算して、早めに準備を始めることをおすすめします。


7. 受け入れまでの流れと期間


  1. ご相談・受け入れ計画の検討

    直接雇用か派遣か、人数、住まい、通年の作業計画を検討します。

  2. 要件の確認

    雇用経験の要件と、協議会への加入手続きを確認します。

  3. 人材の募集・面接

    海外在住者の場合はオンライン面接も可能です。

  4. 雇用契約の締結・支援計画の作成

  5. 在留資格の申請

  6. 入国・生活立ち上げの支援・就労開始


海外から呼び寄せる場合、面接から就労開始までは一般的に4〜6か月程度が目安です(国や時期によって変わります)。収穫期に間に合わせたい場合は、半年以上前から動き出すのが安心です。

採用の流れの詳細は「特定技能で外国人を採用する流れを5ステップで解説」もご覧ください。


8. よくある質問

Q. 家族経営で、これまで従業員を雇ったことがありません。受け入れられますか?

A. 直接雇用の場合は、一定期間以上の雇用経験(またはこれに準ずる経験)が必要です。要件を満たさない場合でも、派遣形態での受け入れなら可能になることがあります。まずは状況をお聞かせください。


Q. 受け入れられる人数に上限はありますか?

A. 特定技能には、技能実習のような常勤職員数に応じた人数枠はありません。ただし、住まいや指導体制を考えると、無理のない人数から始めるのがおすすめです。


Q. 高知県の補助金は使えますか?

A. 雇用している外国人材の研修や日本語教育には、県のスキルアップ補助金が使えます。詳しくは「高知県で外国人採用に使える補助金・助成金まとめ」をご覧ください。


9. まとめ


  • 特定技能「農業」は、栽培管理や集出荷作業に即戦力として従事できる在留資格です。

  • 直接雇用と派遣の両方が認められていて、繁忙期のみの受け入れにも対応できます。

  • 高知の施設園芸では、「夏場の仕事」「住まいと移動」「中山間地での孤立」の3点を事前に設計することが定着の鍵です。

  • 技能実習生を受け入れている農家は、特定技能への移行も含めて早めの検討をおすすめします。


WorkStarまほろばは、南国市に拠点を置く登録支援機関です。インドネシア・ミャンマー・ネパールの人材を中心に、県内の農業現場への受け入れを、採用から生活の立ち上げ、定着までサポートしています。「うちの農家でも受け入れられるか」といった段階からお気軽にご相談ください。



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